歯科コラムはじめに
インプラント治療は、欠損部に人工歯根(インプラント体)を埋入し、機能と審美性を回復する治療法として広く知られています。
しかし、骨の状態や神経・血管の位置を正確に把握し、適切な位置・角度・深さにインプラントを埋入するためには、極めて高い精度が求められます。
その精度を支える技術の一つが「ガイデッドサージェリー(Guided Surgery)」です。
ガイデッドサージェリーとは、CTデータをもとに事前に立体的なシミュレーションを行い、計画通りの位置にインプラントを埋入するための“ガイド”を用いる手術方法を指します。
これにより、従来の「術者の感覚や経験に依存する治療」から、「科学的根拠とデジタル精度に基づく治療」へと進化を遂げました。
ガイデッドサージェリーには2つの方式があります
ガイドシステムには大きく分けてスタティック(静的)ガイドとダイナミック(動的)ガイドの2種類があります。
どちらも「安全で正確なインプラント治療を行うためのツール」ですが、仕組みや特性は大きく異なります。
ここでは、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。
スタティックガイド(静的ガイド)とは
スタティックガイドとは、手術前に作製された物理的なガイドプレートを用いる方法です。CTデータと口腔内スキャンデータを重ね合わせて、コンピューター上で理想的なインプラントの埋入位置を設計し、その位置情報をもとに3Dプリンターなどで「サージカルガイド(マウスピース状の器具)」を作製します。
これらの方法は、ストローマンガイドを用いて行っています。
✳️ スタティックガイドの特徴
- ・高い精度と再現性:シミュレーション通りにドリルを誘導できるため、埋入位置・角度・深さの誤差が最小限。
- ・短時間での手術が可能:術中の迷いがなく、出血量や手術時間が減少。
- ・低侵襲で安全性が高い:必要最小限の切開で済むことが多く、腫れや痛みが少ない。
- ・審美領域で有効:特に上顎前歯部など、微妙な角度と位置が求められる症例に最適。
⚠️ スタティックガイドの注意点
- ・ガイドの作製に時間がかかる:設計から製作までに数日〜1週間程度要する。
- ・術中の微調整が難しい:骨質や粘膜厚など、実際の状況に応じた即時の対応が制限される。
・複数本埋入や骨造成併用症例では対応に限界がある場合も。
ダイナミックガイド(動的ガイド)とは
ダイナミックガイドは、リアルタイムでドリルの位置と角度を追跡しながら手術を行うナビゲーションシステムです。
当院では、アメリカ製のX-Guide(エックスガイド)という最新のダイナミックナビゲーションシステムを導入しています。
X-Guideでは、術前に撮影したCTデータを基にシミュレーションを行い、手術中に患者様とドリルの位置をカメラで常時モニタリングします。
術者はモニター上に表示される3Dナビゲーションを見ながら、計画通りの軌道でドリリングと埋入を行うことができます。
✳️ ダイナミックガイドの特徴
- ・リアルタイムナビゲーション:CT上の計画データと実際のドリル位置を常に照合しながら埋入可能。
- ・術中の柔軟な修正が可能:骨の硬さや粘膜の厚みなど、術中の状況に応じて微調整ができる。
- ・ガイド作製が不要:即日シミュレーションから手術に移行可能なケースもある。
- ・複数本・複雑症例に強い:All-on-4など全顎的症例でも高い精度を発揮。
- ・学術的裏付け:従来法に比べて位置誤差が平均0.5mm以下と報告されています。
⚠️ ダイナミックガイドの注意点
- ・初期導入コストが高い(高度なセンサー・カメラ・ソフトウェアが必要)
- ・システム操作とトレーニングが必要
・術者の集中力と理解力が求められる
My Dental Clinicの取り組み
当院では、患者様の症例に応じて「スタティックガイド」と「ダイナミックガイド(X-Guide)」の両方を使い分けています。
これは、それぞれの方式の長所を最大限に活かすための選択です。
🦷 症例に応じた適切な選択
- ・審美領域や単独歯欠損の場合 → 精密な角度と位置決定が求められるため「スタティックガイド」
- ・複数本埋入や骨量の限界症例の場合 → 術中の微調整ができる「ダイナミックガイド」
- ・即日埋入や骨造成併用症例 → 柔軟性とリアルタイム性に優れた「X-Guide」
💡 当院の強み
- ・スタティックとダイナミックの両方のガイドシステムを完備しているため、症例に合わせて最適な手法を選択可能。
- ・CT、口腔内スキャン、デジタルシミュレーションを駆使し、治療の精度と安全性を両立。
- ・術前の説明から術後のメンテナンスまで、患者様が安心してインプラント治療を受けられる体制を整えています。
ガイデッドサージェリーがもたらす安心と信頼
ガイデッドサージェリーは単なる“デジタル技術”ではなく、患者様の安心・安全を守るための“医療の質”の向上を意味します。
術者の経験や勘に頼らず、科学的根拠とデータに基づいた治療が行えることで、手術の精度・安全性・予後の安定性が格段に向上します。
特に、当院が導入しているX-Guideのようなダイナミックシステムは、従来では難しかった症例にも対応でき、患者様一人ひとりの解剖学的条件に合わせた“完全オーダーメイド”のインプラント治療を実現します。
まとめ
インプラント治療におけるガイデッドサージェリーは、「精度」「安全性」「予知性」を高めるための欠かせない技術です。
スタティックガイドとダイナミックガイド、それぞれの特性を理解し、症例に応じて使い分けることが、より良い治療結果につながります。
My Dental Clinicでは、どちらのガイドシステムも活用しながら、患者様にとって最も安全で美しく、長持ちするインプラント治療を目指しています。
今後も最新のデジタル技術と確かな臨床経験を融合させ、患者様一人ひとりに最適な治療を提供してまいります。
