X-Guideを使用してオールオン４(プロアーチ)のオペを行なっております

はじめに

近年、歯を失った多くの患者様にとって「All-on-4（オールオン4）」は、機能的かつ審美的な口腔回復を実現する革新的な治療法として定着しつつあります。そしてその成功率や安全性をさらに高めるために、最新のデジタル技術が導入されるようになりました。

その中でも注目されているのが、ナビゲーション手術システム「X-Guide（エックスガイド）」です。この記事では、当院で実施している「X-Guideを活用したオールオン4手術」について、その特徴、メリット、他システムとの違い、患者様にとっての利点などを詳しくご紹介いたします。

オールオン4（All-on-4）とは？

「オールオン4」とは、上下いずれかの無歯顎（歯が1本も残っていない状態）または多数の歯を失った患者様に対して、わずか4本のインプラントでフルブリッジ（全体の人工歯）を支える治療法です。

特徴：

オールオン4は従来のインプラント治療に比べて身体的・経済的な負担を大きく軽減することができるため、多くの患者様に選ばれています。

X-Guideとは何か？

X-Guide（エックスガイド）は、アメリカのX-Nav Technologies社が開発したインプラント用のダイナミックサージカルナビゲーションシステムです。

リアルタイムでドリルの位置や角度を3D的に可視化でき、まるで「GPSのように」手術をガイドしてくれる画期的な技術です。

主な構成：

これにより、術者は骨の厚み、神経、上顎洞などの位置を正確に把握しながら、安全にインプラントを埋入することが可能になります。

オールオン4手術におけるX-Guideのメリット

1. 手術の精度が飛躍的に向上

X-Guideのナビゲーションにより、事前のシミュレーション通りの正確な位置と角度でインプラントを埋入できます。特に傾斜埋入（45度前後）の必要があるオールオン4においては、ミリ単位のズレが予後に大きく影響するため、この精度は非常に重要です。

2. 骨を最大限に活用できる

ナビゲーションにより、骨の厚みや密度を事前に把握した上で最も有利な部位へ埋入が可能になるため、骨移植を回避できる確率が高まります。これにより患者様の負担が軽減され、治療期間も短縮されます。

3. 神経・血管・上顎洞の損傷リスクを低減

リアルタイムで解剖学的構造物の位置を確認しながら施術ができるため、安全性が格段に向上します。とくに下顎管や上顎洞に近接する場合でも、安心して手術を行うことができます。

4. フラップレス（無切開）手術にも応用可能

必要に応じてフラップレス手術（歯肉を切開せずに行う）にも応用でき、腫れや痛みの軽減、治癒の早さという面で患者様に大きな利点があります。

5. 手術時間の効率化

術中に迷うことなく計画通りに埋入できるため、手術時間の短縮にもつながります。

他のガイドシステムとの違い

X-Guideは、従来の「サージカルガイドプレート」を用いた静的ガイドシステムと比較して、いくつかの明確な優位性があります。

まず、柔軟性の面では大きな違いがあります。静的ガイドはあらかじめ作製されたガイドプレートに従って手術を行うため、補綴設計が変更された場合などに対応が困難です。一方、X-Guideは術中でもリアルタイムに位置と角度の微調整が可能であり、状況に応じた柔軟な対応が可能です。

次に、精度においてもX-Guideは非常に優れており、0.5mm未満の誤差でインプラントを埋入することが可能です。静的ガイドも精度は高いですが、術中の視認性や操作性に制限があることも事実です。

さらに、X-Guideは難症例への応用にも強みがあります。骨量が限られている場合や、神経や上顎洞などの重要な解剖学的構造に近いケースでも、リアルタイムで確認しながらの埋入が可能です。

もちろん、X-Guideの導入にはコスト面や学習コストなどの課題もありますが、それを上回るほどの高精度・高柔軟性・高安全性を実現できる点は非常に魅力的です。

患者様にとっての利点

X-Guideとオールオン4の組み合わせにより、患者様にとって以下のようなメリットが得られます：

とくにご高齢の方や全身疾患をお持ちの方にとって、これらのメリットは非常に大きな意味を持ちます。

まとめ

X-Guideを用いたオールオン4の手術は、従来のインプラント治療の概念を大きく進化させた、非常に予知性の高い治療法です。

当院では、X-Guideを活用することで、より安全かつ確実な手術を提供できる体制を整えております。今後もデジタル技術の進歩とともに、より良い治療を患者様へご提供してまいります。