
昨日、ストローマンジャパン主催「ステップアップコース(フォローアップ編)」にて、講師を務めさせていただきました。
このコースは、ベーシックコース修了後の受講者を対象に、より実践的で臨床に即した内容を深く学んでいただくフォローアップコースです。今回は、私自身の臨床ケースをもとに「デジタルワークフローを活用したインプラントアプローチ」について講義および実習を担当させていただきました。
講義のテーマ:「確実性を高めるためのデジタル戦略」
インプラント治療における成功の鍵は、「正確性」と「予測性」にあると私は考えています。そして、これを支えるのがデジタル技術です。
講義では、CBCTデータと口腔内スキャンデータのマッチングから、ガイドプランニング、手術当日の埋入、さらには補綴設計まで、一貫したデジタルワークフローを構築するプロセスをご紹介しました。
使用した主な臨床ケース
・前歯部インプラントにおける審美性の維持
・骨量の限られた症例でのガイド活用
・即時埋入におけるプランニングの工夫
参加者の皆さまには、「単なる機器の使い方」ではなく、なぜそのプロセスが必要か? を臨床的な視点から深く理解していただけるよう心掛けました。
実習パート:ガイド埋入の体感と技術習得
午後の実習セッションでは、参加者の皆さんに実際のガイド埋入体験をしていただきました。
模型を使用しながら、プランニングソフト上での配置と、実際の埋入時の感覚の差を確認し、「ガイドを用いたからこそ得られる安心感」や「狙った位置に正確に埋入できるメリット」を実感していただけたようです。
特に印象的だったのは、参加者同士でアドバイスを交換しながら臨床の課題を議論されていた姿でした。学び合う姿勢と熱意が非常に印象的でした。
参加者の反応とその熱意
講義終了後、多くの方から熱心なご質問をいただき、講師として大変ありがたい経験となりました。
・「これまで何となく行っていたガイドの使用に、確かな意味を見出せました」
・「自院でもこのプロトコルを採用したい」
・「補綴設計から逆算する視点に気づけた」
といったご感想は、講師冥利に尽きるものです。
講師としての学びと責任
私自身、こうして教える立場に立つことで、自分の診療の一つひとつを見直すきっかけにもなりました。
日々の臨床では、目の前の患者様に集中するあまり、ルーティーンに陥ってしまいがちですが、講義の準備を通じて「なぜその手法を選んだのか」「他の選択肢はどうだったか」と自問自答することで、あらためて自分の中に一本の軸を築くことができたように思います。
また、参加者の皆さまの真摯な姿勢に触れることで、私自身もさらなる研鑽を重ねねばと感じました。
最後に~今後への展望~
デジタルインプラントの世界は、進化が非常に早く、情報も技術も常にアップデートされていきます。だからこそ、今回のような学びの場で情報を共有し、互いに高め合えることの価値は計り知れません。
今回のステップアップコースをきっかけに、今後も多くの先生方とつながり、よりよい治療の実現に貢献できればと思っています。
そして、デジタルを「特別なもの」から「日常の手段」へと移行させることが、私たち次世代の歯科医療者に課せられた使命の一つだと感じています。